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プレスリリース

​報告日:

2026年9月7日

公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団

親への生活支援だけでも、
会社員は精神的健康リスクを抱える可能性

—2万5千人超を対象とした調査で判明—

公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団は、賛助会員企業のうち協力が得られた18社に勤務する社員を対象に、無記名自記式のウェブ調査「仕事と介護の両立に関する調査」を実施しました。有効な回答が得られた25,446名を対象に分析した結果、介護状況による精神的健康状態の差異について以下の知見を得ました。本結果は、『応用老年学』第20巻1号に掲載されました。

▪︎結果のポイント

・介護状況の実態が明らかに:社員のうち、現在家族の介護をしている「Ⅰ群」は7.9%、親が施設等に入所している「Ⅱ群」は5.8%にとどまる一方、生活支援を行う「Ⅲ群」は42.0%を占めていた。いずれにも該当しない「Ⅳ群」は44.3%であった。

・介護をしている会社員の精神的健康度が最も低い:現在家族の介護をしている「Ⅰ群」の平均得点は11.9点で、他の3群と比べて精神的健康度が最も低かった。身体的な介助を伴う直接的な介護が、精神面に大きな負担を及ぼしている可能性がある。

・介護に至らない「生活支援」層も要注意:親が施設等に入所している「Ⅱ群」(14.0点)や、介護には至らないが生活支援を行う「Ⅲ群」(14.1点)も、Ⅳ群(14.4点)より精神的健康度が低かった。Ⅲ群は公的支援の対象外となりやすいため、予防的な支援の必要性が示唆された。

公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団は、賛助会員企業のうち協力が得られた18社に勤務する社員を対象に、無記名自記式のウェブ調査「仕事と介護の両立に関する調査」を実施しました。有効な回答が得られた25,446名を対象に分析した結果、介護状況による精神的健康状態の差異について以下の知見を得ました。本結果は、『応用老年学』第20巻1号に掲載されました。

▪︎背景

少子高齢化や共働き世帯の増加に伴い、働きながら家族の介護を担う「ワーキングケアラー」が増えており、仕事と介護の両立は社会的な課題となっている。経済産業省の推計では、2030年に約833万人が家族介護を担うとされ、そのうち約4割が就労者とされる。介護をしている人は、していない人に比べ抑うつの有病率が約2倍高いとの指摘もあり、精神的健康の保持増進は重要な課題である。しかし、従来の研究の多くは介護の有無のみに着目しており、介護に至る前段階を含めた多様な状況を踏まえた検討は十分ではなかった。


▪︎対象と方法

本研究は、賛助会員企業23社のうち協力が得られた18社に勤務する就労者を対象に、2024年7月から2025年1月にかけて、無記名自記式のウェブ調査を実施した。有効回答が得られた25,446人(うち男性36.8%)を分析対象とした。

介護状況の把握には、介護の有無、親の生活場所、生活支援の有無に関する質問項目を用い、①現在家族の介護をしている「Ⅰ群」、②親が施設等に入所している「Ⅱ群」、③介護には該当しないが、親への生活支援を行っている「Ⅲ群」、④いずれにも該当しない「Ⅳ群」の4群に分類した。

精神的健康状態は、国際的に広く用いられている評価尺度である日本語版World Health Organization Mental Health Well Being Index - five items(WHO-5-J)で測定し、就業構造基本調査に基づくウェイト値を用いて集計したうえで、一元配置分散分析により4群間の得点を比較した。


▪︎結果

介護状況の分布は、Ⅰ群7.9%、Ⅱ群5.8%、Ⅲ群42.0%、Ⅳ群44.3%であった。一元配置分散分析の結果、以下の3点が明らかになった。

• WHO-5-Jの平均得点は、Ⅰ群11.9点、Ⅱ群14.0点、Ⅲ群14.1点、Ⅳ群14.4点であった。

• Ⅰ群は他のすべての群より有意に低かった(p<0.001)。

• Ⅱ群およびⅢ群もⅣ群より有意に低く(それぞれp<0.05、p<0.001)、Ⅱ群とⅢ群の間には有意な差は認められなかった。


▪︎結論

本研究の結果は、仕事と介護の両立支援を、介護が本格化した段階の就労者に限らず、介護に至る前段階で生活支援を行う就労者も含めて検討する必要性を示している。特にⅢ群は対象者全体の約4割を占め、公的支援の対象外となりやすい層であることから、早期の情報提供や相談体制の整備など、予防的な観点からの支援策の構築が重要と考えられる。


▪︎書誌情報

安順姫,佐々木晶世,上原桃美,土屋瑠見子,石橋智昭.介護状況別にみた就労者の精神的健康状態:仕事と介護の両立に関する調査.応用老年学 20(1),72-78,2026.

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